山梨リニア実験線は、1997年3月に完成、
同年4月より走行試験を開始しました。
主に以下の特長を備えています。
実用化に向け総合的な完成度を高めるため、
超電導リニア車両も進化してきました。
中央新幹線の営業運転を具体的に想定し、
これまで各種走行試験を実施してきました。
L0系車両では最長となる12両編成で、より営業運転(東海道新幹線と同様の16両編成程度を予定)に近い形での走行試験を実施しました。
長大トンネルの走り抜けによる走行抵抗や乗り心地の確認もおこないながら試験走行を繰り返し、2015年4月に1日の走行距離4,064kmを記録しました。
これは、営業運転開始時に想定している1日の走行距離(1編成あたり)を上回る距離となります。
1997年からの走行距離は、329万km(地球約82周分)になります。
最適な営業線の設計に向けて、超電導リニアの時速500kmを超える高速域での乗り心地と安定性の確認を繰り返し、2015年4月に有人走行での時速603kmを記録しました。
これは「最も早い磁気浮上式鉄道」として、ギネス世界記録®にも認定されています。
1998年から、隣接する車線を走行する車両を高速ですれ違わせる「高速すれ違い試験」を実施し、2004年11月には時速1,026kmのすれ違い相対速度を記録しました。
これにより、超電導リニア車両がすれ違う際に問題がないことを確認しています。
営業線に必要な技術開発は既に完了しています。
今後も確立した実用技術をもとに、
走行試験を通して、さらなる快適性の向上や
保守の効率化を目指します。
不具合を事前に察知する「予兆検知」で保守コストを低減します。
例えば、走行中の台車加速度(台車にかかる振動)を分析し、ガイドウェイの歪みを特定。異常な振動が出た場合、ガイドウェイが歪んでいる可能性があるため、不具合が生じる前に整正します。
こうした情報が、すべて総合指令所にリアルタイムで伝送・蓄積されたうえで分析がおこなわれ、故障する前にメンテナンスをおこないます。
※東海道新幹線の車両でも、すでに同様のデータ収集がおこなわれています。
省メンテナンス・低コスト化を目指すため、超電導磁石の構造をシンプルにする技術を導入し、営業線で使える耐久性を検証しています。
従来の超電導磁石は液体ヘリウムや液体窒素を使って冷却していました。
しかし、別の素材を超電導磁石に使用し冷却温度を抑えることで、液体ヘリウム・液体窒素が不要となり、構造のシンプル化による省メンテナンス・低コスト化を目指しています。
振動や騒音を一層低減させる他、圧力(気圧)の変化による耳ツン対策をおこなっています。
「耳ツン」は急勾配区間を高速で走行したり、標高差のある駅間を走行することにより車外の圧力が急激に変化することで発生します。超電導リニア車両では、車両の給気量と排気量を調整することによって車内の圧力変化を緩やかにすることで、耳ツン対策の最適解を検証しています。
快適性の向上のため、引き続き検証をおこなっていきます。
日本国有鉄道(国鉄)・鉄道技術研究所(現:公益財団法人鉄道総合技術研究所)において、日本独自の超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニア)の研究がスタート。東海道新幹線の次の超高速鉄道として、東京・大阪間を1時間で結ぶことを目的としました。
宮崎県に「宮崎リニア実験線」を開設。2年後には、単線で全長7kmの実験線全区間が完成しました。実験線建設地の選定にあたっては「支障物がなく、ほぼ直線で7kmの走行路が建設可能であること」、「地元の協力を得られること」、「在来線に近く、利便性、PR効果があること」、「電力事情がよいこと」、「雪害などの気象条件に影響されず、実験日数が多くとれること」などの点が考慮されました。
7月、宮崎初代の実験車両「ML-500」により、逆T字型ガイドウェイでの走行試験を開始。「ML-500」の車両は人を乗せるスペースはなく、無人の実験車両として作られました。名前の「500」は、時速500kmを目標としたことに由来しています。
4月、ガイドウェイの形状を変更。従来の逆T字型のガイドウェイから、乗車スペースの確保など、車両の構造に有利な点が多いU字型のガイドウェイに変更しました。また、11月には、有人走行が可能な車両「MLU001」の走行試験がスタート。「MLU001」の「U」は、ガイドウェイの形状に由来しています。
宮崎リニア実験線は、単線でトンネルや十分な勾配、曲線がないことからこれらを備えた新たな実験線が必要になり、山梨リニア実験線が建設されることになりました。
宮崎リニア実験線の最後の車両となる「MLU002N」が完成。この車両は「MLU002」とほぼ同様の車体に車輪ディスクブレーキ、乗り心地向上のための超電導磁石弾性支持機能を有した台車などを搭載していました。
7月、「MLX01」が完成し、山梨リニア実験線に搬入されました。「ダブルカスプ形」と「エアロウェッジ形」と呼ばれる2種類の先頭形状があり、名前の「X」は「Experimental(実験)」、「express(急行)」に由来しています。
宮崎リニア実験線で20年間おこなわれてきた、走行試験が終了となり、超電導リニアの”基礎”技術開発が終了しました。
2月、「MLX01」と地上設備を統合させたリニアモーターとしての動作確認や調整をおこない、実用化に向けての初走行を実施しました。
3月27日、運輸大臣審査を経て、山梨リニア実験線の18.4kmの走行区間が完成しました。
4月3日、山梨リニア実験線走行試験開始式典をおこない、本格的な走行試験がスタート。テープカット後に低速度での走行試験を実施し、車両運動の安定性やブレーキ性能などを確認しました。
5月30日、山梨リニア実験線にて初の浮上走行に成功。その後、安定した浮上走行ができることを確認しました。6月より速度向上試験を開始し、11月28日、浮上走行にて時速500kmを突破しました。
総合機能試験の一つである、すれ違い走行試験を開始。対向列車とのすれ違い時における、走行安全性などを確認しました。
営業線での長大編成を想定し、山梨リニア実験線で当時、最長編成となる、5両編成で試験走行を実施。長大編成における走行安定性などが確認されました。
6月、新たに先頭車両「MLX01-901」1両と中間車両1両の計2両の試験車両を投入。7月より走行試験を開始しました。「MLX01-901」には、従来の車両を営業線用の車両へ発展させるデータを取るため、空力的特性や乗り心地などを多角的に把握・検証する、多くの試験的要素が取り入れられました。
12月2日に記録した有人走行での最高速度時速581kmがギネスブックに認定。自身が持っていた、時速552kmの記録を更新しました。(ギネスブック認定日:2004年2月16日)
3月11日、実用技術評価委員会より「実用化の基盤技術が確立した」との評価を受けました。JR東海が進めてきた超電導リニアの技術開発について、実用化に向けた技術的条件が整ったとの評価を得たと考えています。
3月25日、2005年日本国際博覧会(愛・地球博)において、「JR東海 超電導リニア館」を出展。鉄道の世界最高速度となる時速581kmを記録した、ダブルカスプ形状先頭車両「MLX01」の実物展示や大迫力の3Dシアター、超電導ラボが注目を集め、9月25日までの185日間で、約690万人もの方にご来館いただきました。
11月、従来のマイナス269℃より16℃高い状態で超電導状態を維持できる、高温超電導磁石を搭載した車両の走行試験を実施。試験期間中に約4,111kmを走行し、最高速度時速553.9kmを達成するなど、極めて高い完成度を持つことが確認されました。
実験線全線建設に向けた延伸・更新工事(トンネル区間)に着手。
実用技術評価委員会より「営業線に必要となる技術が網羅的、体系的に整備され、今後詳細な営業線仕様及び技術基準等の策定を具体的に進めることが可能となった」との評価を受けました。
10月には、営業線仕様の第1世代となる新型車両L0系の概要が決定しました。
・営業最高速度:時速500km
・車両定員:先頭車最大24名、中間車最大68名
・編成長 299m(12両編成)
9月に累積走行距離が87.8万kmに到達。MLX01による先行区間での走行試験を終了しました。
8月に「山梨リニア実験線42.8km出発式」を開催。延伸・更新工事を終えて全線が完成した山梨リニア実験線(笛吹市境川町~上野原市秋山)で、営業線仕様の第1世代となる新型車両「L0系」での走行試験を再開しました。
L0系が、有人走行での最高速度時速603kmを記録。鉄道の世界最高速度を更新しました。さらに1日の走行距離も4,064kmを記録しました。
実用技術評価委員会より「営業線に必要な技術開発は完了」との評価を受けました。今後は更なる超電導リニア技術のブラッシュアップと、建設、保守、運営のコストダウンに引き続き取り組んでいきます。
L0系で実施してきた各種試験のデータをもとに、L0系を更にブラッシュアップさせたL0系改良型試験車が走行試験を開始しました。