リニア中央新幹線の山岳部においては、一般的なトンネル工事と同じく
「NATM(ナトム:New Austrian Tunneling Method)」が採用されています。
掘削した箇所の表面を吹付けコンクリートで固め、
さらに、トンネル周囲の岩盤をボルトとコンクリートで固定し、
地山(じやま)と一体化させることで、地山が本来持っている支える力を利用して掘進していく工法です。
地山の状況に応じて施工ができ、地質の変化や障害物などに対応しやすいという特長があります。
NATMについて動画で解説します。
南アルプストンネルはトンネル延長が約25km、地表からトンネルまでの深さ(土被り)が最大で約1400mであり、難工事となります。
ここでは、南アルプストンネル工事における安全と環境保全の取り組みについてご紹介します。
① 高速長尺先進ボーリングの採用
トンネル内のボーリング調査は、切羽(掘削現場の最先部)から100m程度先までの地質を確認することが一般的ですが、地質が複雑な南アルプスでは1,000m程度先までボーリング可能な高速長尺先進ボーリングを採用しています。
ボーリング機械の先端の位置を正確にコントロールしながら1,000m程度先の地質を把握し、適切な工法を検討して掘削を進めます。
② 先進坑の掘削
リニア中央新幹線が走行するトンネルである本坑の掘削に先駆けて、本坑と並行な位置に、断面の小さい先進坑を掘削します。
先進坑の掘削によって、地質や湧水の状況を把握することで、より安全に、環境への影響をより低減させながら工事を進めていきます。
また、先進坑は最終的に作業用トンネルや避難用トンネルとして活用します。
静岡工区では工事で生じたトンネル内の湧水を大井川へ流す導水路トンネルを設置します。
大井川中下流域の水資源への影響が生じないようにトンネル工事を行います。