なぜリニア中央新幹線を建設する必要があるのですか。
日本の大動脈輸送を担う東海道新幹線は、開業から半世紀以上が経過し、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければなりません。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提に、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。
中央新幹線計画のこれまでの経緯を教えてください。
中央新幹線計画は、他の整備新幹線と同様に全国新幹線鉄道整備法に基づき推進しています。1973年に基本計画線に決定され、国から指示を受けた当社が地形地質調査等の調査報告をおこないました。これを受けて2010年3月から全20回にわたり開催された交通政策審議会において、技術や費用対効果、建設費、環境、当社の財務的事業遂行能力の検証、さらには2011年3月の東日本大震災を踏まえた審議など、有識者による幅広い観点からの審議がおこなわれ、同年5月、国土交通大臣が当社を営業主体・建設主体に指名するとともに、整備計画を決定し、当社に建設を指示しました。その後、足かけ4年にわたる環境アセスメントの手続きを経て、2014年10月に国土交通大臣から品川・名古屋間の工事実施計画の認可を受け、工事に着手しました。
リニア中央新幹線はいつ頃完成する予定ですか。
国土交通大臣より工事実施計画の認可を受けた品川・名古屋間は2027年開業を目指して工事を進め、その後、大阪まで実現することとしてきました。しかし、南アルプストンネル静岡工区において、大井川の水資源の影響について、静岡県、流域市町等の理解が得られず、実質的に工事が進捗しない状態が続いており、2027年の開業は難しい状況となっています。当社としては、国土交通省が設置した「リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議」に真摯に対応することなどにより、地域の不安を解消し問題の早期解決に努め、静岡工区の早期着工と品川・名古屋間の早期開業に向け、取り組んでいきます。
なぜ大阪まで一度に開業しないのですか。
民間企業として、健全経営と安定配当の堅持という大前提のもと、まずは名古屋まで建設し、その後、経営体力を回復した後、大阪までの建設に着手することとしています。
こうした中で、2016年11月、財政投融資を活用して、鉄道・運輸機構が当社に対し、リニア中央新幹線の建設に要する資金の一部を貸し付ける制度が整えられ、2017年7月には、予定していた3兆円の借入が完了しました。経営の自由、投資の自主性を確保し、健全経営と安定配当を堅持しつつ、長期、固定、かつ低利の財政投融資からの融資による経営リスクの低減を活かし、名古屋開業後連続して、大阪までの工事に速やかに着手し、全線開業までの期間を最大8年前倒すことを目指して全力を挙げていきます。
全線開業へのプロセスについてはこちら
中央新幹線計画にはどのような経済効果がありますか。
リニア中央新幹線はその高速性により、東京・名古屋間を最速40分、東京・大阪間を最速67分で結ぶという圧倒的な時間短縮効果を有しており、首都圏、中京圏、近畿圏の3大都市圏が、人口約6,600万人が集積する一つの巨大都市圏を形成することで、広域的な交流が促進され、ビジネスの進め方、余暇の過ごし方などライフスタイルを大きく変化させるなど、日本の経済、社会全体への幅広い波及効果が期待できます。
建設の費用はどれくらいかかりますか。採算性はありますか。
現在工事を進めている品川・名古屋間については、工事費が7.04兆円となる見通しです。中央新幹線(東京都・大阪市間)は、東海道新幹線と一元的に経営し、東海道新幹線の将来の経年劣化と大規模災害に対するリスクに備えるものであり、日本の大動脈輸送をより力強く担うという当社の使命を果たしていくために不可欠な計画です。当社は、健全経営と安定配当を堅持しながら、この計画を進めていきます。
なお、健全経営と安定配当を堅持できないと想定される場合には、工事のペースを調整し、十分に経営体力を回復することで、計画の完遂を目指します。
なぜJR東海が自己資金でリニア中央新幹線を建設するのですか。
リニア中央新幹線は、東海道新幹線の将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えとして、早期に実現することが必要な計画です。しかし、建設に際して、国の財政事情が厳しい中で公的な資金によるのでは建設の展望がいつまでも開けないことから、こうした状況を打開するため、当社自身の資金力でこの計画を完遂することの可能性を追求し、まず、名古屋まで建設し、さらに経営体力を回復した後、大阪まで建設するという二段階方式ならば、国の資金援助に頼らず、自己負担で建設することが可能であると判断しました。
財政投融資の活用について教えてください。
2016年11月、財政投融資を活用して、鉄道・運輸機構が当社に対し、リニア中央新幹線の建設に要する資金の一部を貸し付ける制度が整えられ、2017年7月には、予定していた3兆円の借入が完了しました。経営の自由、投資の自主性を確保し、健全経営と安定配当を堅持しつつ、長期、固定、かつ低利の財政投融資からの融資による経営リスクの低減を活かし、名古屋開業後連続して、大阪までの工事に速やかに着手し、全線開業までの期間を最大8年前倒すことを目指して全力を挙げていきます。
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大深度地下を通ると聞きましたが、大深度地下とは何でしょうか。
大深度地下とは、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」に定められた、通常利用されない深さの地下空間を指します。具体的には「地下40mより深い範囲」または「支持地盤の上面から10mより深い範囲」のうち、いずれか深い方の深さの範囲と定義されており、公共の用に使用することができるとされています。リニア中央新幹線では、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」に基づき、首都圏、及び中部圏の一部の区間において大深度地下を使用するため、当社は2018年3月に国土交通大臣に対して大深度地下使用の認可申請を行い、同年10月に認可を受けました。
超電導リニアが走る仕組みや止まる仕組みを教えてください。
超電導リニアは、車両に搭載した超電導磁石と地上のガイドウェイ(軌道)に設置された地上コイルとの間の磁力によって、車両を10cm程度浮上させ、超高速で走行します。
超電導リニアの仕組みについてはこちら
消費電力はどれくらいですか。
超電導リニアは、超高速性や都市圏間のアクセス性、輸送能力の点において、航空機より高い機能を、省エネルギーで提供できる交通機関です。
リニア中央新幹線の消費電力については、交通政策審議会の審議の中でも示されている通り、ピーク時の消費電力(瞬間値)は、一定の前提を置いた試算では、名古屋開業時で約27万kw、大阪開業時では約74万kwであり、電力会社の供給余力の範囲内で十分賄えるものと考えています。
今後も、開業当初と比べ約50%の省エネルギー化を実現した東海道新幹線と同様、車両の軽量化、車両形状の改良、電力変換器の改良などに加え、最新の知見を最大限取り入れ、省エネルギー化の取り組みを継続していきます。
常に浮いているのですか。
低速時はゴムタイヤで走行します。およそ時速150kmを超えると、ゴムタイヤを格納し、浮上走行(10cm浮上)となります。
タイヤ走行時も電気で走るのですか。
超電導リニアは、車両に搭載した超電導磁石と地上のガイドウェイ(軌道)に設置された地上コイルとの間の磁力によって前進するため、タイヤ走行時も電気で走行します。
現行の新幹線と比較して乗り心地はどうでしょうか。
超電導リニアの乗り心地は、現行の新幹線と比べて、同じ速度域では同等レベル以上にあることを確認しています。
東海道新幹線が0(ゼロ)系から現在のN700Sに至るまで、改善を積み重ねてきているのと同じように、今後も、さらなる乗り心地の向上に取り組んでいきます。
電磁波や騒音の心配はないですか。
【磁界】
超電導リニアの磁界は世界保健機関(WHO)が採用を勧告しております国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインおよび鉄道に関する技術基準に十分に適合しております。
磁界への対策についてはこちら
【騒音】
超電導リニアは、高速走行時は浮上して走行するため発生する騒音は主に風切り音です。
騒音の低減については重要な課題として取り組んでおり、その対策として、山梨リニア実験線では低騒音型の先頭形状や車両の平滑化、防音壁、防音防災フードの設置などを実施し、性能を確認してきました。
その結果、2009年7月の国土交通省実用技術評価委員会におきまして、適切な騒音対策を講ずることにより、環境基準を達成可能である旨の評価を受けております。
騒音の課題についてはこちら
山梨リニア実験線では今、何をおこなっていますか。超電導リニアに乗ってみたいのですが、乗ることはできますか。
山梨リニア実験線では、現在、営業運転に対応した保守体系の確立に向けた走行試験などを進めるとともに、超電導リニア技術のブラッシュアップ、および、中央新幹線の建設・運営・保守のコストダウンに取り組んでいます。
具体的には、営業線仕様の車両、設備により、全長42.8kmを活用した長距離走行試験などを日々おこなっており、1日平均約2,000kmの距離を、時速500kmで、日々、安定的に走行しています。
時速500km走行を体験いただける「超電導リニア体験乗車」については、こちらのホームページをご確認ください。
超電導リニアの技術はもう完成しているのですか。
超電導リニア技術はすでに実用技術として完成しています。
超電導リニアの技術開発は、1997年1月に当時の運輸省(現:国土交通省)に設置された、開発主体から独立した第三者機関として幅広い専門的な視点から総合的な技術評価をおこなう組織である「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」にて評価がおこなわれてきました。
2005年3月には「実用化の基盤技術が確立した」、2009年7月には「営業線に必要となる技術が網羅的、体系的に整備され、今後詳細な営業線仕様および技術基準などの策定を具体的に進めることが可能となった」との評価を受け、これらを踏まえ、2011年12月には国土交通大臣によって超電導リニアに関する技術基準が制定されました。
直近では、2017年2月に「営業線に必要な技術開発は完了」していると改めて評価を受けています。
クエンチは克服したのでしょうか。
超電導磁石が不安定になる「クエンチ」は、宮崎実験線で確認されていた現象ですが、車両の走行に伴う振動に起因して発生することが明らかになっておりました。そこで超電導磁石を振動に強い構造とすることにより、これまで山梨リニア実験線においてクエンチ現象を起こしたことは一度もありません。
また万が一、クエンチ現象が発生して、車両を浮上・案内させる力がなくなった場合でも、さまざまな安全装置で車両本体とガイドウェイが接触することを防止しており、車両本体が損傷することはありません。また、自動的にブレーキが作動し、安全に停止できるシステムとなっています。これらの対策について、人工的に模擬クエンチを起こしての確認も完了しており、安全に全く問題はありません。このように、クエンチは克服したと考えています。
超電導リニアにはコイルを冷却するためのヘリウムが必要とのことですが、ヘリウムが入手困難になることはありませんか。
超電導磁石を冷却するための液体ヘリウムは循環使用しており、メンテナンスを考えても消費量はわずかです。また、名古屋開業時に必要となるであろうヘリウムは、最大でも日本のヘリウム年間輸入量(令和元年度実績)の約1%にとどまると想定しており、数年かけて調達することを考えれば、1年あたりの調達量は更に低下します。以上のことから、ヘリウムの入手には問題ありません。
さらに、現在開発を進めている高温超電導磁石では液体ヘリウムは不要であり、営業線に投入することで、必要量は現在よりも更に減少すると考えています。
高温超電導磁石の詳細についてはこちら
リニア中央新幹線は何両編成ですか。
東海道新幹線と同様の16両編成程度を予定しています。
車両の大きさはどのくらいですか。
L0(エルゼロ)系車両(改良型試験車含む)は、車体長が先頭車が28m、中間車が24.3mです。
また車体幅は2.9m、車体高は3.1mです。
最高速度は何㎞/hまで出せますか。
2015年4月に実施した高速域走行試験において、鉄道の世界最高速度である時速603kmを記録しています。
当該試験は営業線設備の最適設計に活かすデータを取得することを目的として実施したものであり、リニア中央新幹線の営業最高速度は時速500kmを予定しています。
東海道新幹線よりも加速や減速の性能は上がりますか。
超電導リニアは、車両に搭載した超電導磁石と地上に取り付けられた地上コイルとの間の磁力によって非接触で加減速するため、車輪とレールとの粘着(摩擦)により走行する従来方式の鉄道に比べ、高い加減速性能を有しております。
加減速性能についてはこちら
将来的に最高速度を上げることは可能でしょうか。
磁力により浮上して(非接触で)走行するため、最高速度を上げることは理論的には可能であると考えられますが、高速で走行するほど空気抵抗が大きくなるため、それに対応した動力設備が必要であり、現実的ではないと考えています。
車両のデザインはどのようなものになりますか。
L0(エルゼロ)系車両のデザインやカラーリングは、東海道新幹線のイメージを踏襲しつつ、白色塗装範囲を増やして軽快感を演出するとともに、青色塗装の配列で躍動感の演出を狙って制作しています。
営業線で使用されるデザインは、リニア中央新幹線の営業開始までに検討を深めていきます。
開業時は、今の山梨リニア実験線で走行している車両が走りますか。
現在はL0(エルゼロ)系と、営業車両の仕様策定に向けL0を更にブラッシュアップさせた改良型試車を組み合わせて走行試験を実施しております。
営業線の車両は改良型試験車がベースとなりますが、東海道新幹線が0(ゼロ)系からN700Sに至るまで改善を積み重ねてきているのと同じように、さらなる改善に向けた技術開発は不断の取り組みとして進めていきます。
車両にトイレはありますか。
現在山梨実験線を走行している車両の編成は、すべてトイレがあります。
なお、試乗の際などは、運営の都合上車内のトイレのご利用をご遠慮いただく場合があります。
防犯セキュリティ対策(手荷物検査の有無など)を教えてください。
お客さまの安全を確保するため、当社では駅や車内において、極めて厳重なセキュリティ対策をとっています。
今後営業するリニア中央新幹線についても、東海道新幹線などで得た経験を踏まえ、世の中の技術の動向も考慮し、対策を講じていきます。手荷物検査の有無については、利便性を損なわない形で、これまでより、安全を確保する方法を考えていきます。いずれにしましても、開業までの間、ハード・ソフト両面において、利便性を活かしつつ、セキュリティを確保するために、さまざまな検討を深め、適切な対策を講じていきます。
リニア中央新幹線の運賃や料金を教えてください。
リニア中央新幹線開業後の具体的な運賃・料金体系について、今後、リニア中央新幹線の運行形態、東海道新幹線との連携、乗り継ぎ、さらには開業時期の経済情勢や他の競合する交通機関の状況などさまざまな事柄について検討したうえで、開業が近づいた時点で決定します。
リニア中央新幹線の切符はどのように販売されますか。(例:駅窓口、ネット販売など)自由席はありますか。
今後の技術の進展を踏まえながら、全車指定席を前提に、新たな販売システムや駅の設備、その保守体制などをセットで組み立てていくなど、お客さまの使いやすい形となるよう検討を深めていきます。
飛行機のようにシートベルトはありますか。(ベルトサインのような着席が必要な時間はあるのでしょうか。)
シートベルトが必要となるような高加速や高減速はしませんので、シートベルトはありません。
バリアフリー設備は備わっていますか。(車イスやベビーカー利用者も乗れますか。)
営業線では東海道新幹線と同様のバリアフリー設備を設ける予定です。(現在山梨リニア実験線で実施している超電導リニア体験乗車では、試験目的の車両・設備を含むため、ご利用に一部制限があります。)
現在の東海道新幹線でもトンネルやすれ違い走行時に感じる「耳ツン」は超電導リニアでもありますか。
「耳ツン」現象は、高速エレベーターのように高低差のある所を高速で移動する際などに起こる車内の急激な圧力変化によって発生します。
超電導リニアでは、車内圧力の急激な変化を緩和する制御をおこなうことで、「耳ツン」現象を極力抑えています。
営業線に向けては、山梨リニア実験線での検証結果をもとに、快適性のさらなる向上に向けて技術開発を進めていきます。
トンネルの中でも電波はありますか。(車内で携帯電話やPCのインターネットは繋がりますか。)
営業線での携帯電話やインターネット接続サービスは、今後の世の中の技術の動向やお客さまのニーズを踏まえ、より良いサービスの形を今後検討していきます。
運転士・車掌はいますか。
リニア中央新幹線の加減速や停止などの走行制御は、地上に設けたシステムによりおこなうことから、運転士の必要はありませんが、お客さまへの車内サービス、異常時の対応などをおこなうために必要な乗務員を複数人乗務させることを予定しています。その具体的な体制につきましては、開業が近づくまでに検討を深め、決定していきます。
品川・名古屋間のルート・駅位置はどのように決まりましたか。今後変更する可能性はありますか。
2011年5月、交通政策審議会において南アルプスルートを採択することが適当であると答申され、この答申を踏まえ、国土交通大臣が経過地を甲府市附近・赤石山脈(南アルプス)中南部・名古屋市附近・奈良市附近とする整備計画を決定しました。
その後、品川・名古屋間の環境アセスメントをおこなう過程において、超電導リニアの技術的制約条件、地形・地質などの制約条件、環境要素などの制約条件などの観点からルートの絞り込みをおこない、その路線上で駅の設置が技術的に可能であること、利便性が確保されること、環境への影響が少ないことなどさまざまな要素を考慮し、駅位置を選定、2014年10月に国土交通大臣から品川・名古屋間の工事実施計画の認可を受けています。
以上を踏まえ、ルート及び駅位置を変更することはありえないと考えています。
全線開業へのプロセスはこちら
名古屋・大阪間のルート・駅位置はいつ頃決まりますか。
名古屋・大阪間のルート・駅位置については、環境アセスメントの手続きを通じて決定します。
環境アセスメントの段階では、地形・地質や環境など制約条件を踏まえ、超電導リニアの特性を最大限発揮できる直線に近いルートを設定し、その上で、ご利用いただきやすく、また建設コストを抑えることができるところに駅の位置を決めていくことになります。
なお、環境アセスメントは、名古屋・大阪間の工事に着手する約4年前に手続きを開始します。
環境アセスメントの手続きはこちら
リニア中央新幹線開業後、リニア中央新幹線・東海道新幹線の運行体系はどうなりますか。また、リニア中央新幹線にも、東海道新幹線のように「こだま」「ひかり」など異なるタイプを設けるのでしょうか。
リニア中央新幹線は、時速500kmで走行する超電導リニアの輸送特性を最大限発揮するため、東京・名古屋・大阪間を結ぶ直通列車を中心に、中間駅に停車する列車を組み合わせていくことになります。一方で、東海道新幹線は、リニア中央新幹線の開業によって、現行の東海道新幹線の「のぞみ」のご利用の一部がリニア中央新幹線にシフトすることで、東海道新幹線のダイヤに余裕ができた場合に、現在の「ひかり」「こだま」の停車駅の利便性向上につながるよう検討していきます。
リニア中央新幹線と東海道新幹線の運行体系については、それぞれの輸送特性を最大限発揮でき、かつ、相互の補完性などを考慮しながら、開業時期の経済情勢や他の輸送機関の動向を踏まえて、開業が近づいた時点で決定していきます。
中間駅とターミナル駅間の所要時間はどれくらいですか。
神奈川県駅(仮称) | 山梨県駅(仮称) | 長野県駅(仮称) | 岐阜県駅(仮称) | |
---|---|---|---|---|
品川駅 | 10分程度 | 25分程度 | 45分程度 | 60分程度 |
名古屋駅 | 60分程度 | 45分程度 | 25分程度 | 15分程度 |
名古屋駅でリニア中央新幹線から東海道新幹線に乗り換えるにはどれくらい時間がかかりますか。
リニア中央新幹線の名古屋駅は東海道新幹線と上下に交わる形となりますが、エレベーターなどの動線を工夫して、最短3分、最長でも9分程度で相互に移動できるように計画しています。
東海道新幹線のように雨、風などによる運転規制は受けるのでしょうか。(雨や雪でも走行できますか。)
【雨】
雨に関しては、これまでの20年にわたる走行試験の実績から、降雨による列車の走行への影響はないものと考えています。
【風】
風に関しては、超電導リニアは車体の高さが新幹線より低く、また車体の下側半分がガイドウェイ側壁、つまり線路の両側にあるコンクリートの壁に隠れていること、および磁石の力により車体が左右方向に動くのを防止する機能をガイドウェイ側壁が有していることから、走行の安全性や安定性に対して風による影響は受けないものと考えています。
【雪】
雪に関しては、リニア中央新幹線は、8割以上が地下またはトンネル区間であり、地上走行区間においても防音防災フードの設置を計画している区間の雪害は想定されません。
防音防災フードが設置されない区間は、高速走行する車両が雪や氷を跳ね飛ばすことがないように、スプリンクラーにより雪を融かすなどの対策により、雪による影響が生じないようにしていきます。
工事の進捗を教えてください。
リニア中央新幹線の工事では、契約を締結し、準備が整ったところから、順次工事をおこなっています。
ルート・工事マップはこちら
工事契約を締結した、施工会社を教えてください。
工事契約を締結した、施工会社は、ルート・工事マップでご覧いただけます。
ルート・工事マップはこちら
工事はどのような工法・手順で行われますか。
都市部や山岳部、ターミナル駅など、主な工事の工法や工事の手順を以下でご紹介しています。
都市部のトンネル工事についてはこちら
山岳部のトンネル工事についてはこちら
ターミナル駅の工事についてはこちら
難工事と聞きましたが、どの工事が特に難易度が高いのですか。
リニア中央新幹線の工事において、規模が大きく、長期間の工期を要する難易度が高い工事として、南アルプストンネルや品川・名古屋の両ターミナル駅における工事が挙げられます。
南アルプストンネルは、トンネル延長が約25km、地表からトンネルまでの深さが最大で約1,400mと、長さ・深さの規模としては、国内に前例のないトンネルとなります。
ターミナル駅は、営業中の鉄道の直下でおこなう工事となり、工事の段取りなども複雑で、大規模なものです。
南アルプストンネルやターミナル駅における工事の特徴について、以下で紹介しています。
山岳トンネル(南アルプストンネル)の工事についてはこちら
ターミナル駅の工事についてはこちら
標準的なトンネルの大きさを教えてください。
東海道新幹線と比べるとどれくらい大きいですか。
山岳トンネルは、かまぼこ型のトンネルで、高さは7.6m、横幅12.8mです。また、都市部トンネルは円型のトンネルで、直径が12.6mです。
東海道新幹線では、高さ7.2m、横幅9.6mです。
なお、トンネル構造物には厚みがありますが、いずれもトンネル内側の大きさを示しています。
工事は毎日おこなわれますか。
工事は月曜日から土曜日を基本としておこなっておりますが、工事の種類や状況に応じて、変更となる場合もあります。
なお、各工事における作業日・作業時間については、地元の方々を対象とした工事説明会でご説明しております。
工事用車両による渋滞や事故が心配です。
工事用車両の運行にあたっては、道路の状況や交通量等を調査のうえ、適切な運行計画を策定し、渋滞などを発生させないように努めています。
また、交通事故を防止するために、安全運転教育、交通誘導員の適切な配置、地元車優先の運転、現地における注意喚起のための看板の設置などの安全対策を現地の状況に応じておこなっています。
安全対策についてはこちら
工事で損害が発生した場合、補償はおこなわれますか。
万が一、中央新幹線の工事に起因する建物等の損害等が発生した場合は、当該損害等に対して補償を行う考えとなります。
建築物ができることで、日照などへの影響はありますか。
リニア中央新幹線の工事により、日陰による住宅居住者への影響、農作物への影響が発生した場合には、国の基準などに基づき補償をおこないます。
工事による環境への影響はありますか。
工事にあたっては、工事場所に応じて、環境影響を回避・低減するための環境保全措置を実施しています。
環境保全措置についてはこちら
工事による発生土の量はどのくらいですか。
東京都 | 約600万m3 |
---|---|
神奈川県 | 約1,140万m3 |
山梨県 | 約676万m3 |
静岡県 | 約360万m3 |
長野県 | 約974万m3 |
岐阜県 | 約1,280万m3 |
愛知県 | 約650万m3 |
合計 | 約5,680万m3 |
発生土はどこに運びますか。
トンネルの掘削などに伴う発生土は、まずはリニア中央新幹線建設事業で最大限活用する一方で、他の公的事業や民間事業を含めて有効活用していただくことを考えており、有効活用先の情報収集や斡旋などについて、沿線の都県および関係市町村にご協力いただいています。
現時点で、想定される発生土量を上回る活用先の情報提供をいただいており、具体的な利用に関して、地権者をはじめ、関係者との調整や現地での調査を進めるなど、候補地の選定を進め、一部の地区においては発生土置場を決定しています。当社が新たに計画した発生土置場などについては、環境保全措置の計画書を当社HPに掲載しています。
環境保全計画
山梨県はこちら
長野県はこちら
岐阜県はこちら
引き続き、環境面・技術面などの検討をさらに深度化し、他の整備新幹線などの建設と同様に、工事の進捗に合わせて発生土置場を決定していきます。
環境に悪い土などがでてきたらどうするのですか。
工事にあたっては、事前に地歴調査などを実施し、必要に応じて土壌調査などにより、土壌汚染の有無を確認します。また、工事中に、汚染のおそれがある土壌に遭遇した場合は、有害物質の有無や汚染状況などを確認し、土壌汚染が明らかとなった際には、土壌汚染対策法などの関連法令などに基づき適切に処理、処分します。
トンネルなどの土壌汚染対策法の対象とならない箇所からの発生土についても、基準を超過した自然由来の重金属などが含まれていないか調査を実施することとしています。
基準を超える発生土が出た場合には、運搬車両の荷台をシートで覆い、周辺への飛散防止を図るなどしたうえで、適切に運搬、対処します。
また、発生土置き場などを設ける場合にも、必要により予め土壌中の重金属などが地中へ浸透しないよう措置をとるなど、万全の対応を図っていきます。
工事中の騒音や振動が心配です。
工事に伴う建設機械の稼働や工事用車両の運行に伴う騒音・振動については、「低騒音・低振動型機械の採用」「工事規模に合わせた建設機械の設定」「工事の平準化」などの環境保全措置を確実に実施することにより、さらなる環境影響の低減を図ってまいります。
地下を通ると聞きましたが、工事で地盤沈下などは発生しませんか。
都市部のトンネル工事では、トンネル内への漏水を防ぐことができるシールド工法の採用により地下水位の低下を防ぐとともに、地下駅や都市部非常口の工事では、地質を考慮した工法を採用するなど、適切に施工することにより、地盤沈下を抑えることができると考えています。
山岳部のトンネル工事においては、地山(じやま)とトンネルを一体化するためのロックボルトや地山を支えるための支保工の設置など、地質に応じた適切な施工方法を採用することから、影響は小さいと考えています。
また、地質的に弱い場所の上に住宅がある箇所など、地下の浅い部分をトンネルが通過する場合には、工事を実施するにあたり、念のため変位計側を実施し、工事による影響を確認していきます。
トンネル建設に伴い、地下水への影響は大丈夫ですか。
都市部のトンネル工事では、トンネル内への漏水を防ぐことができるシールド工法の採用により地下水位の低下を防ぐことができると考えています。
山岳部のトンネル工事においても、地質や地下水の状況に応じて、防水シートや薬液注入などの適切な工法を採用することにより、断層周辺の破砕帯など一部を除き、影響は小さいと考えています。
また、施工にあたっては井戸、河川などにおいて水位、流量などの測定を実施していきますが、万が一、減水などの兆候が認められ、水利用への影響の恐れがある場合には、水利用者の方々の生活に支障をきたさぬよう応急対策を実施し、因果関係を確認のうえ、必要な場合には、恒久対策を実施していきます。
車両基地やトンネルなど中央新幹線の工事現場を見ることはできますか。
工事の安全や工程に支障があるため、工事現場の視察は基本的にお受けしていません。
各都県の工事の進捗状況は、ルート・工事マップでご覧いただけます。
ルート・工事マップについてはこちら
工事の内容や環境への影響について詳しく聞きたい場合、どこに問い合わせれば良いですか。
当社では、品川・名古屋間の沿線各都県に工事事務所と環境保全事務所を設置し、一般の方からご意見やご質問などをお受けしています。受付日時は、土・日・祝日・年末年始を除く平日の9時~17時です。
お問い合わせ先についてはこちら
地震や火災などの災害時の避難について教えてください。
お客さまの安全を第一に、開業までの間、お客さまの避難誘導なども含め、ハード・ソフト両面において、さまざまな検討を深め、万全を期します。
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火災への対策についてはこちら
停電するとどうなりますか。
停電が発生しても、車両が高速で走行している間は、浮上力が常に生じているため、車両は急に地面に落下することなく、安全に停止します。
加えて、超電導リニアは、1か所の変電所が停電した場合でも、隣接する変電所からの給電が可能なシステムとなっており、長時間停電が生じる可能性は低いシステムです。
詳しくはこちら
走行中に大地震が発生した場合、脱線など、どういった危険が考えられますか。
リニア中央新幹線の東京、名古屋、大阪のターミナル駅および路線の大半はトンネルや地下構造とする予定であり、一般に地下空間は地震時の揺れが小さく、災害に強いという特性があります。また、土木構造物については、国の最新の基準を踏まえて十分な耐震性を有するように設計しています。東日本大震災、熊本地震の際も、この基準等を踏まえて建設や補強された新幹線構造物には大きな被害は生じなかったと承知しています。
また、超電導リニア車両はU字型のガイドウェイに囲まれた内側を約10cm浮上して非接触で走行するとともに、浮上・案内コイルの磁力の作用により、車両を常にガイドウェイの上下左右の中心に位置させようとする力が働くことから、地震時に車両が脱線することはありません。
さらに、東海道新幹線で実績のある早期地震警報システム(テラス)を導入し、地震発生時には早期に列車を減速・停止することができます。
詳しくはこちら
非常時に超電導リニアの電源が無くなることはありませんか。(車体が全く動けなくなること)
超電導リニアは、電気設備の信頼性や多重性が在来鉄道より極めて高いため、電源が無くなり、列車が立ち往生する可能性は低いシステムです。
万が一、列車が立ち往生することになった場合でもお客さまに安全に避難していただけるよう、山梨リニア実験線にて、避難方法を検証・確認しています。
非常時に浮上走行ではなくタイヤ走行に変えることはありますか。
非常時にはタイヤ走行となる場合もありますが、山梨リニア実験線において、通常では考えられない時速500kmからの着地走行など、厳しい条件による異常時想定試験を繰り返し、安全に走行できることを確認しています。
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南アルプスの山の中を通るとのことですが、その中で停車した場合の避難方法を教えてください。冬季でも安全なのでしょうか。
南アルプストンネルでは、本線トンネルに並行して地質の確認のために掘削された先進坑を避難時に活用します。先進坑は、営業開始後は保守用通路として使用されることとなり、保守用車両等が通行可能であるため、お客さまには徒歩もしくは車両で、状況に応じて最寄り、または近隣の非常口等へ安全に避難していただくことを考えています。
冬場を含め、一般的にトンネル内は、外に比べて年間の気温の変化が小さいため、移動までの間は、安全なトンネル内に留まっていただくことになると考えています。また、非常口へ至る地上アクセスは、山岳部を通る他の新幹線と同様、既設の道路あるいは工事にあたって整備した道路を活用するため、冬季でも安全に避難できると考えています。
車体から降りて避難する際に磁界の影響は受けないでしょうか。
超電導リニアでは、避難経路確保のために、必要に応じて超電導磁石を即座に消磁して磁界をなくすことができます。非常時であっても、磁界の影響を受けることはありません。