超電導リニアには時速500kmの高速走行でも安全に停止することができるブレーキシステムを搭載しています。通常時は「電力回生ブレーキ」により減速しますが、「電力回生ブレーキ」が使用不可となった場合に備えて「車輪ディスクブレーキ」と「空力ブレーキ」も搭載しており、山梨リニア実験線において、通常では考えられない時速500kmからの着地走行など、厳しい条件による異常時想定試験を繰り返し、安全に走行できることを確認しています。
リニアモーターを発電機として働かせることで減速させる
ブレーキです。車両の運動エネルギーを電気エネルギーに
変換し、発生した電気は電力変換器に戻して再利用します。
車輪ディスクブレーキはタイヤに取り付けた
ディスクブレーキ装置により機械的に減速
させるブレーキです。
空力ブレーキは車両から空力ブレーキ板を出し、
空気抵抗により減速させます。特に高速域に
おいて大きな減速効果が得られます。
停電が発生しても、車両が高速で走行している間は、浮上力が常に生じているため、車両は急に地面に落下することなく、安全に停止します。
さらに、1か所の変電所が停電した場合でも、隣接する変電所からの給電が可能であるなど、冗長性の高いシステムとなっています。
走行中に変電所がダウンしても隣接する変電所から給電することで
走行を継続することができます。
超電導リニアは、地震に強いシステムです。超電導リニアの車両はU字型のガイドウェイに囲まれた内側を約10cm浮上して非接触で走行し、浮上・案内コイルの磁力の作用により、車両を常にガイドウェイの上下左右の中心に位置させようとする力が働くことから、地震時に車両が脱線することはありません。また、リニア中央新幹線の東京、名古屋、大阪のターミナル駅および路線の大半はトンネルや地下構造とする予定であり、一般に地下空間は地震時の揺れが小さく、災害に強いという特性があります。さらに東海道新幹線で実績のある早期地震警報システム(テラス)を導入し、地震発生時には早期に列車を減速・停止することができます。
車両がガイドウェイの中心からずれると、電磁誘導の原理により、車両が遠ざかった側には吸引力、近づいた側には反発力が働くため、車両には常にガイドウェイの中心に戻ろうとする力が、人為的に制御することなく働きます。この力は、速度が速ければ速いほど大きくなり、より安定します。
超電導リニアの車両は、国土交通省令に基づき、燃焼性規格における不燃性・難燃性の材料を使用しており、車両内には初期消火に使用する消火器を設置、車端部には仕切戸を、車両間には貫通扉(自動ドア)を設置しています。
列車火災発生時は、迅速かつ安全に乗客の避難を行うために、次の停車場又はトンネルの外まで走行して停止することを原則としています。
リニア中央新幹線は品川・名古屋間の約86%がトンネルとなっています。万が一の異常時には、東海道新幹線と同様に原則として次の駅またはトンネルの外まで走行しますが、トンネル内に停車し、車両から降りて避難せざるを得ない場合においても、お客様に安全かつ速やかに避難いただけるよう、避難誘導をおこなう計画です。
※火災の場合は風上に避難・誘導します。
山梨リニア実験線では、実際の車両設備を用いて様々な場面を想定し、定期的に避難訓練を実施しています。