#01 山梨リニア実験線について About

山梨リニア実験線は、1997年3月に完成、同年4月より走行試験を開始しました。
主に以下の特長を備えています。

総延長 42.8km
最急勾配 40‰(パーミル)
最小曲線半径 8,000m

#02 山梨リニア実験線の歴史 History

宮崎実験線での走行試験、そして山梨リニア実験線へ。
実験線の歴史を当時の写真と共に振り返ります。

  • 1962 #超電導リニアの研究スタート
  • 1977 #宮崎実験線の開設
  • 1977 #宮崎での初走行
  • 1980 #TからUへ
  • 1989 #山梨リニア実験線の建設を決定
  • 1993 #宮崎の最後を飾る
  • 1995 #山梨リニア実験線車両の完成
  • 1996 #さらなる飛躍を目指して
  • 1997 #実用化に向けての初走行
  • 1997 #実験開始準備が整う
  • 1997 #山梨リニア実験線の誕生
  • 1997 #初の500㎞/h(浮上走行)
  • 1998 #すれ違う超電導リニア
  • 1999 #長大編成における試験走行
  • 2000 #実用化に目途
  • 2002 #新たな試験車両
  • 2003 #自らのギネス記録を更新
  • 2005 #基盤技術の確立
  • 2005 #世界へのお披露目
  • 2005 #マイナス253℃という高温
  • 2008 #営業線仕様による、最終確認試験
  • 2009 #営業線に必要な技術の整備
  • 2010 #新型車両の概要が決まる
  • 2011 #先行区間での走行試験が終了
  • 2013 #42.8kmを新型車両が走る
  • 2015 #鉄道の世界最高速度を更新
  • 2017 #営業線に必要な技術開発は完了
  • 2020 #LO系改良型試験車の走行試験開始
RETURN

#03 車両の進化 Evolution

実用化に向け総合的な完成度を高めるため、超電導リニア車両も進化してきました。

宮崎実験線 車両

山梨リニア実験線 車両

#04 走行試験の実績 ACHIEVEMENTS

中央新幹線の営業運転を具体的に想定し、これまで各種走行試験を実施してきました。

長大編成を想定した12両編成走行

L0系車両では最長となる12両編成で、より営業運転(東海道新幹線と同様の16両編成程度を予定)に近い形での走行試験を実施しました。

1日の最大走行距離4,064㎞

長大トンネルの走り抜けによる走行抵抗や乗り心地の確認もおこないながら試験走行を繰り返し、2015年4月に1日の走行距離4,064kmを記録しました。

これは、営業運転開始時に想定している1日の走行距離(1編成あたり)を上回る距離となります。

1997年からの走行距離は、329万km(地球約82周分)になります。

時速603kmでの有人走行

最適な営業線の設計に向けて、超電導リニアの時速500kmを超える高速域での乗り心地と安定性の確認を繰り返し、2015年4月に有人走行での時速603kmを記録しました。

これは「最も早い磁気浮上式鉄道」として、
ギネス世界記録®にも認定されています。

時速1,026kmでのすれ違い相対速度

1998年から、隣接する車線を走行する車両を高速ですれ違わせる「高速すれ違い試験」を実施し、2004年11月には時速1,026kmのすれ違い相対速度を記録しました。
これにより、超電導リニア車両がすれ違う際に問題がないことを確認しています。

#05 今後の技術開発 Vision

営業線に必要な技術開発は既に完了しています。今後も確立した実用技術をもとに、
走行試験を通して、さらなる快適性の向上や保守の効率化を目指します。

低コストかつ効率的な保守体系の検証

不具合を事前に察知する「予兆検知」で保守コストを低減します。
例えば、走行中の台車加速度(台車にかかる振動)を分析し、ガイドウェイの歪みを特定。異常な振動が出た場合、ガイドウェイが歪んでいる可能性があるため、不具合が生じる前に整正します。
こうした情報が、すべて総合指令所にリアルタイムで伝送・蓄積されたうえで分析がおこなわれ、故障する前にメンテナンスをおこないます。
※東海道新幹線の車両でも、すでに同様のデータ収集がおこなわれています。

高温超電導磁石の長期耐久性の検証

省メンテナンス・低コスト化を目指すため、超電導磁石の構造をシンプルにする技術を導入し、営業線で使える耐久性を検証しています。
従来の超電導磁石は液体ヘリウムや液体窒素を使って冷却していました。
しかし、別の素材を超電導磁石に使用し冷却温度を抑えることで、液体ヘリウム・液体窒素が不要となり、構造のシンプル化による省メンテナンス・低コスト化を目指しています。

快適な乗り心地を追求

振動や騒音を一層低減させる他、圧力(気圧)の変化による耳ツン対策をおこなっています。
「耳ツン」は急勾配区間を高速で走行したり、標高差のある駅間を走行することにより車外の圧力が急激に変化することで発生します。超電導リニア車両では、車両の給気量と排気量を調整することによって車内の圧力変化を緩やかにすることで、耳ツン対策の最適解を検証しています。
快適性の向上のため、引き続き検証をおこなっていきます。